遥かなる旅立ち…



「お待たせしました。三次元世界・上野行き急行列車です…」

これがきっと、他の世界に行ける乗り物…きっとこの人は、その乗り物の係員…
躊躇する事はない。第一、私は今や5人殺した凶悪犯人になってしまったようだし…
だいいち、履いていたロングブーツが、勝手にその中へと足を進ませるのだ…

箱の中の、もう一つの扉を開くと、そこは長い部屋のようになっていて、両側に窓があり、外から見た時のように、窓に沿って椅子が並んでいた…
椅子の多くは空いていたけれど、その所々には、見たこともない服を着た人が座り、ちらりと、それでいて好奇心の塊のような目で、私を見ていた…
空いている椅子に腰掛けてみると、見た目より椅子は柔らかく、賭け心地が良かった。

外で甲高い鐘が鳴っている…と思った途端、ガタンと衝撃が起き、箱が動き始めた。
駿馬の引く四頭立て馬車よりも力強い加速、先頭の箱が、馬のように、この長い屋根付馬車のつながりを引いているのか…

部屋の隅についた箱から、さっきの係員らしき人の声が聞こえる。
「本日は銀河鉄道株式会社 幻想四次元線をご利用頂き、有難うございます。
 この列車は、大銀河本線に直通致します、急行、イーハトーブ4号、
 三次元世界・上野行きです。
 途中オリオン駅で、アンドロメダから来る車両と連結作業を行います…」

しゃべっている言葉は分かるけれど、その時は単語の意味は分からなかった…
ギンガテツドウ? ダイギンガ? イーハナントカ? 何、それ?
ウエノって…何処…お嬢様もそこに? それとも、そこは天上界? それとも…

私の乗った箱の列は、ぐんぐんとスピードと高度を上げていく。
下の方を見る…黒い森が、あんなに低く、狭く見える。
都の華やかで冷たい光の渦…その横の劣等人類の住む灯りの少ない街の何箇所かで、
火の手が上がっているのが見えた…帝國軍が焼打ちをしているのだろう…
その向こうは、南の蛮族の地…西の光る海…東の山脈…
どれもこれもが、私の遥か下に、小さく、小さくなっていく…

そう…私が乗ったのは、「銀河鉄道」の急行列車だった…

さようなら…

前途に待ち受ける不安より、置いてきた想い出が、私の心を苦しめた…

そんな私の心の迷いと悲しみを振り切ろうとするかのように、
銀河鉄道の急行列車は、さらにスピードを上げていく…
想い出たちから遠ざかっていく…

「次は、西十字星、西十字星に停まります…
 西十字星に停まりますと、次の停車駅は…」


さてさて…
この「私」こと、「リーサ」が何者なのか…
未知なる世界への、長い長い旅の行方は…
終着駅で「私」を待ち受ける、新たなる運命とは…
ある時は凶悪な時空海賊相手に、自慢の長鞭捌きで、八面六臂の大活躍!
またある時は、星屑の川のほとりで、想い出を探す老婆のお手伝い!
またある時は、人々を支配する「母なる電脳」と、その下で潤う「悪徳商人」に、
怒りの刺突サーベルが天誅を下す…!!!


とまあ…
それはまた、次のお話という事に…♪


(会場を一杯に埋め尽くしたバイトのサクラ観客の拍手喝采)





そして、舞台裏…

小理佐(…本当に、後のストーリー、考えているんですか?)
川辺 (…全然…相変わらず、出たとこ勝負なんだよね…)


こうして…
呪われた、罪深くも高貴な血の流れた優等人類の少女の身体を、レース襟のブラウスにジョッパーズパンツという、優等人類の可愛くも凛々しい少年服と手袋とロングブーツで身を包み…
男装少女リーサは誕生したのであった♪

滅びの迫る優等人類の、罪深くも気高い血と文明を伝える為…
その使命と運命を背負って…


祝祭劇場 プロムナード へ戻ります




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